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マレーシアの平均年収は? ローカル給与事情や日本との比較を検証

ここ数年、経済成長率(実質GDP)5~8%の高い数字が続いている東南アジアの注目国・マレーシア。2022年発表の「海外在留邦人数調査統計」によると、3カ月以上の長期滞在者と永住者を合わせたマレーシア在住の日本人は2万4,545人。

マレーシア在留邦人総数は世界全体で12位となり、日本人から安定した人気を得ている国であることが伺えます。また製造業を中心とした日系企業の参入も多いことから現地の経済や雇用を担う大きな側面もあり、今後も日本とマレーシアのビジネス面における交流は続くと予想されます。

今後マレーシアでビジネス展開を検討していたり、現地採用や駐在を視野に入れている方にとって気になることの一つが、”給料”。マレーシア人の給料事情はもちろんのこと、現地採用や駐在員をはじめとした日本人就労者の給料はどのような体系なのでしょうか?

今回の記事では、マレーシアにおける平均月収についてローカルと日本人に焦点を当てて見ていきましょう。

給料所得を知る上で大事な視点

マレーシアの給料に関する情報は多くの方が気になる点であるが故、様々な情報がインターネットで流れています。今回、マレーシア政府発表のデータを参考に当記事を作成している中で、中央値と平均値での併記を見かける機会が非常に多いことに気が付きました。

マレーシアの場合、日本のような給料水準を正規分布したものではなく偏りがあるのです。それ故、”平均”という切り口は実情から乖離した数字(最大1.5倍の差)であるという点への理解が必要です。

その点も踏まえ、以下の説明では中央値をベースに平均値も織り交ぜながら説明していきます。

マレーシアの年収事情

マレーシアと言ってもその国土は広く(日本の0.9倍)、当然ながら地域や職種によって給料も異なります。そこで、まずはマレーシア全体の年収事情を見ていきましょう。


マレーシア全体の年収/月収(中央値):RM27,000(81万円) / RM2,250(6.7万円)

月収は2023年10月時点の為替で日本円に換算すると約6.7万円。

給料は下限RM1,600(4.8万円)前後から上限RM8,500(25.5万円)と幅広いレンジがあり、それについては当然ながら地域、職種やポジション、経験等の影響によるのですが、日本の平均月収である38万円と比較すると圧倒的な差があることは明確です。

地域別

マレーシアの給料水準を知る上で、どの地域のデータを把握するべきかという視点は非常に大事です。あなたがマレーシアでの就職を検討している、もしくは採用する側の立場となる場合、マレーシアの首都クアラルンプール及びその周辺のセランゴール州のデータを確認することをおすすめします。

求人案件や企業進出はこれらの地域に集中しているという背景からも、この地域は外せないでしょう。では、マレーシアにおける総人口の約5%(180万人)が住む首都クアラルンプールとセランゴール州における給料事情を見てみましょう。

クアラルンプールの年収/月収(中央値):RM36,648(110万円) / RM3,054(9.1万円) 

セランゴールの年収/月収(中央値):RM34,608(104万円) / RM2,884/月 (8.7万円)

クアラルンプールのさらに上を行く1位のプトラジャヤは月収RM3,837/月(11.5万円)。このプトラジャヤについてはマレーシアの新行政首都の役割を有するエリアであり、周辺に住む人々(12万人)の大半が政府機関に就労する者及びその家族という背景があります。

その他の地域に関しては、月収ベースですが以下の表を参照ください。

地域月収水準(中央値)※2021年
プトラジャヤRM3,837(11.5万円)
クアラルンプールRM3,054(9.1万円)
セランゴールRM2,884(8.6万円)
ペナンRM2,353(7万円)
ネグリセンビランRM2,297(6.9万円)
マラッカRM2,190(6.6万円)
ジョホールRN2,184(6.5万円)
サラワクRM2,059(6.2万円)
サバRM1,930(5.8万円)
ケランタンRM1,632(4.9万円)

年齢別

日本から駐在員を派遣するだけではなく、現地社員を採用したいと考える企業の方も多いのではないでしょうか。当然マレーシアでも業界への精通度や職務経験は給料に反映されるものです。ここでは、2021年におけるマレーシアの月収水準(中央値)を年齢グループ別に紹介します。

年齢層月収水準(中央値)※2021年
60-64RM2,146(6.4万円)
55-59RM3,005(9万円)
50-54RM3,043(9.1万円)
45-49RM3,069(9.2万円)
40-44RM3,228(9.6万円)
35-39RM2,938(8.8万円)
30-34RM2,462(7.3万円)
25-29RM1,781(5.3万円)
20-24RM1,464(4.3万円)

特に注目していただきたい点が、生産年齢人口の構成比。

若年層の20〜39歳に絞ったとしても総人口の30%を超えるという圧倒的な下支えがあることから、今後も経済発展が予想されます。そして留意すべき点をもう一つ。上述の通り、これらのデータはあくまで中央値です。

クアラルンプールのローカル不動産エージェントに実情を聞いてみると、クアラルンプールの学士卒新入社員の場合、一般的な月収水準はおそらくRM2,500(7.5万円)~RM3,000(9万円)/月ではないかとのこと。

より具体的な情報を知りたい方は、ぜひ求人サイトや情報誌でリアルタイムの相場を調べられることをおすすめします。

業界別

こちらではマレーシアの業種別月収水準(中央値) の比較として、上位下位それぞれ5つを見ていきましょう。

2021年のデータとなりますが、コロナ禍の行動制限や大幅な需要減により建設業など特定の業界に影響が出てはいるものの、全体としては2020年対比で賃金の上昇が見られます。

業界月収水準上位5位(中央値)※2021年
教育RM5,331(16万円)
HRRM4,193(12.5万円)
採掘RM3,921(11.7万円)
ITRM3,754(11.2万円)
金融RM3,330(9.9万円)
業界月収水準下位5位(中央値)※2021年
建設RM1,781(5.3万円)
小売RM1,697(5.1万円)
事務RM1,692(5万円)
飲食RM1,581(4.7万円)
農業RM1,490(4.4万円)

昇給については全体として3~8%/年の上昇が一般的と言えるでしょう。特に飲食業界では労働環境や給料水準、働き方の問題で賃金UPを提示しても人が集まらない、という話はここクアラルンプールでもよく耳にします。

日本人現地就労者の年収事情

マレーシアで就労する立場、マレーシアに社員を送り込む企業としての立場、どちらにしても”お金”すなわち給料に関することはまず知っておきたい、と思う方が大半ではないでしょうか?

マレーシアで就労する場合の雇用形態は、以下の2つに該当する方が99%でしょう。

 ・現地採用

 ・駐在員

ここからは、現地採用と駐在員の給料事情についてご説明します。

現地採用

現地採用とは、その名の通り現地での採用を意味します。マレーシアでの日本人の現地採用事情はBPO企業への就職が特に多く、その年齢層は比較的若年層(20代中盤〜)という特徴もあります。

BPOとはBusiness Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略称。業務の外部委託請負を通じて、依頼者の事業コスト削減や運営のスリム化を実現する事業が主なサービスです。

BPO企業は外資系が多いものの、案件は日系通販事業や旅行予約サイトのコールセンター業務が一般的という事情もあり日本人及び日本語話者の採用に積極的です。

そんな彼らの年収水準はいくらでしょうか?

現地採用者(BPO)の一般的な平均年収/月収:RM96,000289万円)/ RM8,000/月(24万円)

マレーシアの日本人向け無料情報誌では毎週のように新規の求人案件が掲載されており、そこで相場感は把握できます。特にBPOは大学卒業直後でも就労ビザが発行されやすいという背景もあり、「今すぐにでもマレーシアで働きたい」という方には最適な就職口かもしれません。

就労条件や雇用期間、昇給テーブル、ボーナスの有無などの条件を確認した上で、ご自身の将来のキャリア設計と照らし合わせて検討されることをおすすめします。なお、BPO就労時の給料に関しては基本給に語学手当(日本語)RM1,000-1,500(3-4.5万円)/月が加算されるという仕組みが一般的のようです。

チームリーダーやマネージャークラスへの昇格チャンスを得た場合、月収はRM10,000(30万円)〜RM15,000(45万円)/月が実現可能なケースもあります。

X(旧ツイッター)で実施されたアンケート(N=238)では、実に37%の方が月収10,000(30万円)を超えているという結果も出ています。

このような現地のリアルな声を事前に知ることも、就職の選択肢を広げる上で重要ではないでしょうか?

また、BPO以外でも現地企業や日系現地法人の採用募集も多く掲載されています。こちらは専門性が求められる営業職や管理職の募集が多くなることから、給料水準がBPOと異なるものも掲載されますのでぜひご確認ください。

日系企業駐在員

マレーシアには日本を代表するメーカーや商社を始め、様々な企業が参入しています。

外資の参入が比較的容易、英語でのビジネス展開が可能、東南アジアのハブ、労働賃金が比較的安価という背景もあり、今後もこの流れは続くでしょう。

また、マレーシアは比較的治安が良いという事情もあり、各社からマレーシアに赴任する駐在員は家族帯同が多いという特徴もあります。では、そんな彼らの給料水準を見てみましょう。

日系企業駐在員の一般的な年収:企業による

これについては各社様々。業界や業種はもちろん、役職次第でも全く異なる現状です。

弊社のヒアリングによると、日本勤務時代の1.3〜1.5倍程の所得になるケースが一般的なようです。「2倍もないのか?」と思われる方もいるかもしれませんが、これはハードシップの基準によるものです。マレーシアは比較的安全な国ということでアフリカなど諸外国に比べ危険地手当が低い、もしくはないという事情による結果となっています。

しかしながら、大手企業の社員ということで特に自動車支給、家賃補助や子供の学費補助などは充実しており、会社によっては2回/年の一時帰国交通費補助(家族全員)もあるそうです。

これらの手当によって可処分所得が大幅に増加する駐在員ステータスは、海外志向の方には魅力的と言えるでしょう。

マレーシアの平均月収で日本人は暮らせるか?

給料に関するトピックで気になる点の一つ”生活費”。マレーシアの平均月収で日本人は暮らせるか?という質問ですが、これについては”家族構成と食生活次第”がベストな回答です。

マレーシア統計省が発表した世帯収入は、マレーシア全体でRM5,873(17.6万円)/月(中央値)。収入が一番高いクアラルンプールではRM10,549(31.6万円)/月(中央値)というデータとなっています。日本円に換算すると、約17万〜31万円/月というところでしょうか。

単身生活であれば住居費や食費などはコントロールしやすい部分もあるので、現地採用/駐在員を問わず生活は可能と言えるでしょう。

しかしながら家族帯同でのマレーシア生活となるとそう簡単に行かないのが実情で、マレーシアの平均月収で日本人感覚の生活は極めて難しいと言えます。慣れない海外生活、セキュリティ面、教育インフラを考えると、多くの日本人家族帯同者は都心の駐在員街を選択される方が多いです。

これらの地域に住む駐在員の家賃相場はおおよそRM4,000(12万円)~5,000(15万円)/月と言われています。これについては、会社規模や役職次第では最大RM15,000(45万円)/月まで会社負担という充実のサポートがあるケースもあるようです。

教育面に関しては、日本人学校/インターナショナルスクールに関わらず学費は日本のそれと比較にならない高額になります。クアラルンプール日本人学校を例に上げると小学部はRM1,300(3.9万円)/月、そして中学部はRM1,470(4.4万円)/月の授業料負担が生じます。(昼食費や交通費は別途)また、幼稚園もインター校に通わせるのであれば最低でもRM1,000(3万円)~1,500(4.5万円)/月は必要です。

そして食生活。異国に住まいを移したと言えど日本食主体の家族が大半、という実情からも輸入に依存する日本食品の購入が食費の大幅増加に影響します。一般的な指標として、4人家族(小学生の子供2人)であれば最低でもRM3,000(9万円)~RM4,000(12万円)/月の食費が必要となる認識は持っておくと良いでしょう。

まとめ

今回の記事では、マレーシアの平均月収や日本人現地採用者、駐在員の月収について取り上げました。日本の平均月収約38万円/月と比較してクアラルンプールの世帯収入は約31万円というデータだけを聞くと、そこまで違いがないのではと思われる方もいるかもしれません。

しかしながら、先述の通り我々は外国人ということで学費や食生活など、彼らと比べるとインフラ面で高額な出費が必要になることが多いです。現地に数年住めばこのあたりの数字も自身の経験や現地の知人からの情報で把握はできますが、これからマレーシアで就職を考える、現地で法人の立ち上げを検討している方の中にはインターネットのみが情報源という方も多いかもしれません。

弊社は2019年12月より現地法人を立ち上げました。また家族で移住しているため(子供はクアラルンプールのインターナショナルスクールに通学)、企業運営のコストだけではなく生活維持費のアドバイスも可能です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

参考 Household Income and Basic Amenities Survey Report 2022, Department of Statistics MalaysiaDOSM, Putrajaya sees the highest salaries & wages in Malaysia: DOSM : humanresourcesonline

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