コラム記事

意外と知らないマレーシアのスーパーマーケット事情|ローカルから日系まで徹底解説

人が暮らすために欠かせない「食」。マレーシアに渡航する際、気になる点の一つとして挙げられることが、日本との食文化の違いではないでしょうか。

そして、日本人が特に気になる点はマレーシアでも日本の食料品は手軽に入手ができるのかということです。昨今は日系企業のマレーシアへの進出、そして移住や日本人留学生が増えるなどマレーシアへの注目度が非常に高まっています。

特に日系食品メーカーや日系飲食店などのマレーシアへの進出は著しく、これまで以上に日本の食料品や日本食レストランを日常的に目にする機会が増えました。

そこで今回は、発展がめざましいマレーシア市場のスーパーマーケット事情について詳しくご紹介します。

Village Grocer(ビレッジグローサー)

マレーシアの首都クアラルンプールに住んでいれば誰でも一度は目にする「Village Grocer」(ビレッジグローサー)。1950年代に小さな食料品店から始まり、現在ではマレーシアの老舗スーパーマーケットと呼べる代表格です。

肉や魚をはじめとする生鮮食品やその他日用品まで幅広く取り扱い、クアラルンプールの中心エリアには多数の店舗を出店。基本的にはショッピングモールの中に店舗を構えています。

各店舗には日本の食料品の特設コーナーがあり、日本食料品を専門に扱う小売店に比べると選べる商品数は劣るものの、日本の調味料や製菓、インスタント麺など一般的な食料品であれば十分な品ぞろえです。また、日本の食文化には欠かせない納豆も冷凍で販売されていて手軽に購入ができます。

近くに日本食を扱うスーパーがない方にとっては、ある程度の日本食やお菓子はこちらでもそろえることができるため、当然ながら日本人の利用者も多数。そして、展開店舗数も多いことから地元民の利用割合も高いスーパーです。

Jaya Grocer(ジャヤグローサー)

マレーシアの大手高級スーパーマーケットチェーン「Jaya Grocer」(ジャヤグローサー)。こちらもショッピングモールを中心に出店していて、多くの地元民や日本人に広く利用されているスーパーです。

Village Grocerと比較すると日本食の取り扱い数が多く、Village Grocerでなかなか手に入らない日本の食料品がこちらでは比較的手に入りやすい点が日本人の利用頻度が高い理由の一つです。

日本の食料品以外にも海外からの調味料や食料品、そして輸入商品の取り扱いも多いことが特徴として挙げられます。客層もマレーシア人や日本人だけでなく、さまざまな国の方が自国の商品を求めて来店する光景をよく見かけます。

マレーシアでは比較的高級なスーパーの位置づけにあるため高価格帯商品が多くなりますが、店内も清潔に保たれていること、そして鮮度の高い食品を提供するスーパーとして在住者に人気の高いスーパーの一つです。

生鮮食品のなかでも特に精肉は新鮮なものが購入できるため、鮮度の点でローカルのスーパーが不安な方も安心して購入ができます。また、お店によってはカットされた精肉が店頭には並ばないことも多いマレーシアですが、このJaya Grocerでは鶏肉や牛肉などもさまざまな部位が綺麗にパック詰めされて陳列しています。

なお、Jaya Grocerに限らずですがイスラム教徒が多いマレーシアでは、一般的には豚肉が売られているお店が少ないという事情があります。もし販売をしているお店でも豚肉は鶏肉や牛肉とは別のコーナーで販売されていますのでご注意ください。

AEON(イオン)

日本では非常になじみの深い「AEON」(イオン)ですが、海外展開に積極的でマレーシアにも多数店舗を展開をしています。

スーパーマーケットだけでなく衣料品や電化製品、家具や寝具など幅広い製品を取り扱い、年々その店舗数も増えてマレーシア人にとってもその認知度は非常に高いと言えます。なかでもスーパーはさすが日系企業が運営するスーパーで、圧倒的な日本食の品ぞろえです。

またイオンのプライベートブランドであるTOPVALU(トップバリュ)の商品展開も多く、日本のイオンと遜色のないラインナップから日本食を手に入れることが可能です。

価格は日本と比較すると少し割高にはなりますが、日本人にとっては異国のマレーシアで十分な日本食が手に入ることは魅力であり、利用者は多いのではないでしょうか。

たとえば日本のスーパーでは一般的な惣菜ですが、マレーシアのイオンにも惣菜コーナーが併設されていて仕事帰りに手軽に惣菜を購入したい方にもおすすめです。おにぎりや揚げ物などのさまざまな惣菜を取りそろえていることから、日本人のみならずマレーシア人も購入をしている様子をよく見かけます。

また時期によっては沖縄フェアなど日本の地域特産商品の特設スペースが設けられ、マレーシアにいながら各県の味を楽しめる点も魅力です。

ISETAN(伊勢丹)

日本人の利用頻度が非常に高いスーパーの一つとして挙げられるの「ISETAN」(伊勢丹)。日本人なら誰もが知る老舗百貨店がマレーシアにも出店しています。

クアラルンプールの日本人や観光客に人気のエリアにある高級ショッピングモールSuria KLCC(スリアKLCC)内、そして若者が集う町としても知られるブキッビンタンのLot10(ロットテン)内にも出店しています。

圧倒的な日本食の品ぞろえの多さ、そして惣菜がとても充実していることも人気の理由ですが、加えて日本酒や焼酎などのアルコール飲料の品ぞろえの多さも人気です。

また、日本人に人気が高いCHITOSE(ちとせ)ブランドの野菜が購入できる店としても人気。CHITOSEはマレーシアの自社農園で日本人によって栽培された日本品質の野菜で、その味は多くの日本人、そして食にこだわりのあるローカルからも高い支持を得ています。

高級スーパーとしての位置づけですが、日本人が多く暮らすエリアに位置し利便性が高いこと、そして店内も綺麗で衛生の面でも安心して買い物ができるスーパーと言う点が支持される大きな理由です。と同時に、その立地や出店モールの格付けからも他のスーパーと比較すると高価格帯商品が多いため、多くの日本人は地元のスーパーとISETANをうまく使い分けて利用しています。

JONETZ by DON DON DONKI(ドンキ)

2021年、ブキッビンタンにマレーシア初となる1号店の出店を皮切りに年々出店数を増やしています。店舗名は日本のドン・キホーテとは異なり、「JONETZ by DON DON DONKI」(ジョウネツバイドンドンドンキ)という名称での事業展開です。

マレーシア初出店のオープン日には長蛇の列ができるほどで、人々の期待値は非常に高く注目の出店でした。

商品はドンキ独自のあの陳列スタイルがマレーシアでも同様に展開されています。日本では食料品や雑貨、衣料品そして電化製品など幅広く取り扱う総合ディスカウントストアとして知られていますが、マレーシアでは主に食料品と日用品、生活雑貨などをメインとした商品展開となっています。

特に食料品が充実し、日本産の牛肉コーナー、握り寿司や惣菜コーナーはいつも人で賑わい、購入後には店内のイートインスペースでいただくことも可能です。日本の調味料の品ぞろえも豊富でたいていの調味料は手に入りますし、日本でよく見かける冷凍パスタなどの冷凍食品も充実。料理が面倒な人や時間がない人にも重宝されています。

気になる価格ですが日本のドンキと比較をすると少し割高に設定されていて、商品によっては日本の約1.5~2倍ほどの価格設定になっています。

shojikiya(正直屋)

マレーシア最大の日本食料品専門チェーン店の一つ「shojikiya」(正直屋)。日本食料品を専門に取り扱い、大型のショッピングモールを中心に店舗展開しています。日本人はもちろんですが、日本食に興味や関心の高いマレーシア人や外国人の利用も多く見られることも特徴です。

生鮮食品の取り扱いはなく、製菓やカップ麺、レトルト食品、そして調味料やジュース、アルコール飲料がメインの品ぞろえです。

マレーシアで日本食料品は一般的には高価となりがちですが、shojikiyaは商品の入れ替えなどで頻繁にセールを行っていて、そのセールのタイミングで購入すると比較的安価に購入も可能なことも人気の理由です。マレーシアでは高価となるアルコール飲料も、日本の缶チューハイなども時々セールが行われて安価に購入ができます。

これまでにご紹介したスーパーと比較すると店舗面積は非常に小さいですが、日本食料品を専門に扱っていることからも一店舗内で必要品の購入が完結できるため、日本人にとっては人気の高い食料品店の一つとなっています。

マレーシア在住日本人の食生活の実情

マレーシアで暮らしている日本人は、実際にどのような食生活を送っているのでしょうか。

多民族が暮らすマレーシアではローカルの多種多様で安価なおいしい料理が楽しめる半面、多くの日本人は結局のところ、幼い頃から食べ慣れた母国の食事がメインになるケースが多いようです。特に移住や日系企業の駐在という理由で子供を含めた家族でマレーシアに暮らす日本人家庭はその傾向が強いと言えます。

ローカル料理は油が多い、クセの強い香草やハーブを大量に使った料理や味付けが口に合わない、子供にはなるべく油の少ない食事を食べさせたい、などの理由から日本食主体の生活を選択する家庭は少なくありません。しかしながら、日本食の原材料はほとんどが輸入になることから日本での食費と比較すると二倍弱のコストがかかることが留意点として挙げられます。これはスーパーでの買い物に限らず、日本食をメインに扱う飲食店においても同様です。

ご紹介をしたようにマレーシア国内にはさまざな日本食料品を扱うスーパーがいくつも存在し、たいていの日本食は近隣のスーパーで事足りるほどに充実しています。とはいえ、欲しい食材すべてを国内で手に入れることは品ぞろえの面、そして経済的な面も含めて難しいため、多くの日本人は一時帰国の際に大量の日本食料品を調達したり、一時帰国をする友人などに購入を依頼するなど、それぞれに助け合いながら対応するケースが一般的です。

一部の日系企業では、駐在員に対して送料は会社負担で年に数回必要な食材をマレーシアへ送付するなどの対応をしているケースもあります。

それでも近隣国のシンガポールやタイと比較しても遜色のない商品ラインナップのため、日本食を主体とした生活を維持することはほとんど問題のない環境が整っているマレーシア。そのことからも日本食料品の需要の高さがうかがえます。

まとめ

今回は、マレーシアに多数あるスーパーの中でも特に日本人になじみの深いスーパーをいくつかご紹介しました。

冒頭でもお伝えしたように、マレーシアは近年めざましい経済成長を続けていて日系企業や飲食店進出が加速しています。日本だけでなく海外でも自社の商品を知ってもらいたい、広めていきたいと考えている食品メーカー様、マレーシアでの現地製造に挑戦したい、海外での事業展開やさらなる規模拡大を目指す飲食店様は多いでしょうが、実はどういった販路があるのか分からないという企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。

百聞は一見に如かずという言葉の通り、まずは現地で実際の商流や小売りを見聞きして市場の現実を知っていただくことをおすすめします。弊社では、そのような企業様に向けて店舗視察アテンドサービスや現地での営業代行サポートなど、あらゆる面でのご支援を行っています。

下記リンクに詳細な情報を掲載しておりますのでぜひご一読ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

関連記事

ページ上部へ戻る