コラム記事
4.122024
マレーシアで開催されるハラール・食品業界の展示会を紹介
世界の各都市で一年を通して開かれているさまざまな業界の展示会。マレーシアももちろん例外ではなく、首都クアラルンプール周辺をはじめ、シンガポールの隣という地の利を生かし発展が著しいジョホールバルなどで展示会が開催されています。
こういった展示会は原則ビジネス関係者のみ参加が可能ですが、自社ブースを設け出展者側として参加するだけではなく、関連業界の最新製品情報を収集したりコネクションを作るきっかけに活用しているビジネスマンも多いのではないでしょうか。
今回はそんな多種多様な展示会の中から、当ブログが最も多く取り上げるハラールや食品分野の展示会、そしてマレーシアで開催予定のイベントを中心にご紹介します。
記事後半にはクアラルンプールを中心に代表的な展示会場情報も掲載しました。マレーシア出張の際に足を運ばれてはいかがでしょう。
ハラールや食品にまつわる展示会
イスラム教の戒律を順守するための「ハラール」はイスラム教徒の生活のあらゆる場面に適用され、イスラム教を国教とするマレーシアでビジネスを行う以上大なり小なりは避けて通れないものです。中でも食品は直接体に入るため、製造や管理、配送販売に至るまでハラールの基準を満たしているかが最も顕著に表れ、厳しく評価される分野です。
現在世界で20億人を超えるとされ、今後も増え続けると言われているイスラム教徒。高いポテンシャルを有するイスラム社会の一員でありながら、同時に複合民族国家であるため外国人へ課せられる制約も比較的緩やかなマレーシアは、外資企業にとってイスラム市場への魅力的なゲートウェイとなっています。マレーシア政府もハラール産業を国家戦略上の成長産業と位置付け、外資を呼び込むハラール特区の設置や、関係業界のマッチングの場・ハラール知識習得の機会を設けるなどして業界をバックアップしています。
米調査会社ディナールスタンダードが2022年に報告した世界イスラム経済指標ランキングでは、81の国と地域の中でマレーシアが総合第一位となりました。
マレーシア国際ハラールショーケース(MIHAS:Malaysia International Halal Showcase)
2024年9月で20回目の開催を迎える、MIHASの略称で知られるマレーシア国際ハラールショーケースは、投資貿易産業省(MITI)の委託を受けマレーシア貿易開発公社(MATRADE)が主催する世界で有数のハラールの見本市です。
MIHASでもっとも出展比率と規模が大きいのはやはり食品ですが、外食産業や食品を取り巻く流通・小売、製造機械やパッケージ製品のメーカーも多く出展します。
ハラールという基準はイスラム教徒の人生・生活全般をカバーしていますので、参加業種は食品以外にもおよび、ファッション・化粧品/医療・医薬品/イスラム教徒向け観光/教育/イスラム金融/イスラム美術などと多岐にわたります。2023年の開催で商用来場者は38,000人、総額RM31億の商談が成立したと報告されています。
Karnival Dagang Halal Food Expo
マレーシア国内のハラール食品に特化した見本市で、年に3回程度開催。主催はDagangHalal.comという組織で、2008年からハラール食品のBtoBビジネス向けにプラットフォームを運営しています。イベントはBtoBとBtoCの両方を対象とし、業界人のみならず商談のない一般消費者も無料で参加できるため非常に盛り上がります。日系ではキッコーマンとPocky(グリコ)がビッグネームの出展者として公式HPでも紹介されています。
公式HP:https://karnivaldaganghalal.com/en-my/
International Cafe & Beverage Show(ICBS)
コーヒーやお茶を中心とした飲料品を対象とした展示会。参加資格者は飲料に関するあらゆる業種の従事者で、カフェオーナーはもちろん、食品・卸・小売から配送・ホスピタリティ・ITと広い範囲を網羅しています。
イスラム教徒が国民の6割を超えるマレーシアでは非アルコール飲料の消費が高くなることは言うまでもありません。東南アジア一円でコーヒー消費量は多い傾向があり国ごとに名物コーヒーがありますが、マレーシアでもイポー発祥の「ホワイトコーヒー」が、コーヒーチェーンの名称にもなり国内一円に展開しています。また、イギリスの植民地だった時代に紅茶を飲む習慣がもたらされたマレーシアでは今でも高原地域では紅茶の栽培も盛んです。
そういった背景で行われるイベントですので、日本のお茶文化や飲料にまつわる製品を紹介する絶好の機会になるのではないでしょうか。2024年のICBSは5月に開催予定です。
フード&ホスピタリティマレーシア(FHM:Food & Hospitality Malaysia)
2年に1回開催され、次回18回目の開催は2025年9月の予定です。
これまでは「フード&ホテルマレーシア」の名称で長く親しまれてきましたが、次回よりブランド名に変化を加え「フード&ホスピタリティ」となっています。食品とホスピタリティ産業をカバーしているため、観光業からの注目も高い展示会です。
なお2024年は本家としての名称での開催はありませんでしたが、2月に「FHM Borneo Edition」としてボルネオ島のサバ州コタキナバルで開催されました。
公式HP:https://foodandhotel.com/
Food & Drinks Malaysia by SIAL(FDM)
フランスで2年に1回開催される世界最大規模の食品展示会「シアル・パリ/SIAL Paris」を主催するComexposium社が、2023年からマレーシアで新たにスタートした総合食品展示会。2024年は7月開催予定です。
公式HP:https://www.fooddrinksmalaysia.com/
マレーシアの主な展示会場
発展が著しいASEANの優等生マレーシア。地理的にもほどよくASEANの真ん中に位置するため、広くASEANをフォローする展示会開催に適しています。広大な未開発の平地を活用して街をひとつ造り上げる大規模開発が盛んなマレーシアでは、その新たな街のファシリティの一つとして大型の展示会場が建設されていることが多いのです。
ここからは、そんなマレーシアの主要都市それぞれの代表的な展示会場をご紹介します。
クアラルンプール
・クアラルンプールコンベンションセンター
2005年オープン。クアラルンプールの象徴と言っても過言ではないペトロナス・ツインタワーや高級ホテルなど高層ビルの林立する、KLCC(クアラルンプール・シティ・センター)というその名の通り、クアラルンプールの真ん中のエリアに位置。そのアクセスの良さは東京の東京国際フォーラムにも匹敵し、この上ないアクセスの良さを誇ります。
Kuala Lumpur Convention Centre
所在地: Jalan Ampang, Kuala Lumpur
・マレーシア インターナショナルトレード&エキシビションセンター(MITEC)
2016年完成のマレーシア最大のコンベンションセンター。2017年には、二年に一度持ち回りで開催される「東南アジアのオリンピック」とも呼ばれる「SEA Games」の開会式会場となりました。クアラルンプール都心からやや西の郊外の地区にあります。
Malaysia International Trade and Exhibition Centre (MITEC)
所在地:Jalan Dutamas, Kuala Lumpur
・MATRADEエキシビション&コンベンションセンター
2007年のオープンで、上記のMITECの隣にあります。モスク建築に見られるアーチのようなデザインのタワーは郊外の緑が豊かな高台の上に非常に映えます。エキシビションホールのほか、常設の展示室があり400もの地元企業が利用しています。
MATRADE Exhibition and Convention Centre (MECC)
所在地:Jalan Sultan Haji Ahmad Shah, Kuala Lumpur
・ワールドトレードセンタークアラルンプール
1985年オープンのコンベンションセンター。クアラルンプール北西郊外のダウンタウンに位置し、かつては「プトラワールドトレードセンター(PWTC)」と呼ばれていました。クアラルンプールコンベンションセンターが登場するまでは、展示会と言えばここ一択だった時代もあったほどの老舗会場です。
World Trade Centre Kuala Lumpur
所在地:Chow Kit, Kuala Lumpur
プトラジャヤ
・プトラジャヤ国際コンベンションセンター
過密の一途をたどるクアラルンプールから行政機能や政府機関を移管した行政新首都プトラジャヤに2004年にオープン。プトラジャヤを見下ろす高台に、首相府と向き合って建っています。独特の屋根の形は儀式用の銀細工の装飾品を模しており、プトラジャヤを象徴する建物の一つです。
Putrajaya International Convention Centre
所在地:Putrajaya
セランゴール州
・Setia Cityコンベンションセンター
クアラルンプールの西隣セランゴール州都シャーアラムのSetia City(Setia Alam)にあるコンベンションセンターです。この一帯は総合不動産デベロッパーのSetiaグループにより、ショッピングモールやホテルなどの大規模商業地やゲートに守られた住宅地(ゲーテッドタウン)が開発されてきました。
Setia City Convention Centre
所在地:Setia Alam, Shah Alam
ジョホールバル
・ペルサダジョホール国際コンベンションセンター
不動産などで知られる大規模開発が進む郊外ではなく、ジョホールバルの中心部に2006年にオープン。名称は王族が公務や儀式を行う際に座るステップを意味するマレー語に由来しており、外観はジョホール州のスルタン(イスラム教の王様)の被る帽子をモチーフとするなど、スルタンへの敬愛が強いジョホール州ならではの雰囲気が感じられます。
Persada Johor International Convention Centre
所在地:Johor Bharu
まとめ
情報収集とコネクションが非常に重要な海外でのビジネス展開。業界展示会は会社名と連絡先を事前登録すれば参加が容易な場合が多いため、さまざまな分野でビジター参加を多くされている方もいらっしゃることでしょう。
マレーシアでは、国の特性から今回ご紹介したようなハラール・食品業界でも多くのイベントが行われていますので、ぜひご参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。