コラム記事

大阪のソウルフード「お好み焼き」でムスリム集客を実現した「ごっちゃん」のメディア戦略

外国人観光客にとって東京と肩を並べる人気の観光先「大阪」

粉もん文化発祥の当地には、本場のたこ焼きやお好み焼きを求めて来阪する外国人客が後を絶ちません。しかしながら、多くの飲食店ではムスリム対応に遅れをとっており、ムスリム観光客にとってはハラール・ムスリムフレンドリー対応したメニューがある店舗を探すのは一苦労です。

そんな中、2023年に大阪・難波で開店したお好み焼き「ごっちゃん」がムスリムフレンドリーお好み焼きメニューの提供を始め、来阪及び在阪ムスリム集客に注力しています。

今回は、女将の岡田様にインタビューをさせて頂きました。

お好み焼き屋をはじめたきっかけ

実は東京で30年間勤めていたこともあり、大阪に戻ってきたのは本当に久しぶりです。

大阪に戻ると決めた際に「何か大阪とご縁のある仕事がしたい」と考えていました。

帰阪を考え出した頃から大阪のインバウンドが盛り上がっている様子や、我々大阪人のソウルフードである”粉もん”が外国人観光客に受け入れられている様子を見ており、「お好み焼き提供を通じて大阪の素晴らしさを伝えていきたい」と考えたのがきっかけです。

ムスリム向けメニューを開始した理由

東京で勤めていた企業には多くの中東や東南アジア出身のムスリムが職場にいる環境でした。職場には礼拝室もあり、宗教が生活に取り入れられている様子を見てきましたし、彼らと交流する中でイスラム教やハラールについて学ぶ機会も多かったです。

彼らとの話の中でも、「大阪に行く際にはお好み焼きを食べてみたい」という声を聞いていたので、ムスリムインバウンドの集客にとって魅力的なメニューになると確信していました。

ムスリムの集客に関する悩み

はい、悩みしかありません。

ムスリムの方から「ノンハラール(特に豚)を調理する鉄板を共有したくない」という意見を頂いたので、ムスリム向けにコンタミを排除した特別仕様の鉄板を用意しました。

しかしながら、半年間全く稼働せずという非常に厳しい状況に陥りました。特に宣伝もしていなかったため、見込み客にリーチすることがなかったので当然の結果ではあります。出来ることはやろうということで、近所のムスク周辺で集客用のビラを配布するなど行動に移しましたが残念ながら集客には繋がらず、ずっと悩んでいました。

弊社に連絡された理由

どうしようかと悩んでいる中で、新婚旅行で来阪されたマレーシア人の夫婦からYoshitoさんを紹介されたのがきっかけです。

「日本食×ハラールの切り口で食品やレストランをインスタグラムで紹介しているマレーシア在住の日本人がいるので相談してみては?」とアドバイスを受けたので、この状況をなんとか打破したいという藁をも掴む思いでDMで連絡をしてみました。

そうすると翌日にDMで返事があったので、早速ZOOMにてお話してみることにしました。

SNS運用と集客支援サービスの利用に至った経緯

以前からGoogleマップ上ではコツコツとレビューを蓄積しており、その口コミの強さを実感していました。しかしながら、SNSは得意ではないということで敬遠しつつも取り組まなければと考えていた次第です。取り組む以上はその道のプロにお願いしたいと考えていました。

オンライン上でしかお会いしていないので不安はありましたが、紹介してもらったマレーシア投資開発庁・大阪支社の代表(ムスリム)がお店に夕食で訪問くださったのも安心できる材料の一つでした。

また、会話や提案の中でハラールだけではなく食品に対する知識と理解があることが把握できたので、集客支援サービスを依頼しようと決心しました。

取り組む以上は商売(=売上を作る)にする必要があります。まずはアカウントの設計(方向性やマネタイズの導線など)を相談しながら進めていき、ムスリム集客に特化した英語版アカウントを設置することに決めました。

アカウントIDからプロフィールの内容、その他アイキャッチ画像まで全て細かく1-2ヶ月かけて作り込みました。SNSや動画作成アプリの使い方にはまだまだ慣れていませんが、その点も来客者を巻き込む戦略で対応していく予定です。

サービス提供後の効果

はい、驚きました。インスタグラムアカウントの運営を開始した翌日には在阪ムスリムのお客様1組に来客いただけたのです。その週は在阪と来阪ムスリムの方が5組もいらっしゃいました。

また東南アジアのハラールメディアにもムスリムフレンドリーお好み焼きを特集した記事を掲載いただき驚きです。SNS集客の可能性を実際に体感することができ、これは今までに経験できなかった手応えでもあります。

「はじめてお好み焼きを食べた、美味しい」と言う声を聞いて、非常に嬉しかったですしムスリム専用の鉄板を導入して本当に良かったなと感動しました。

彼らの宗教上の悩みを、私のお店で提供するサービスで少しでも解決できるのであればこれ以上嬉しいことはかりません。

今後の取り組み

あまり大きなことは考えていません。まずは小さなことからコツコツと積み重ねていくことが大事だと考えています。なにより残り続けることが大事ですから。

具体的な取り組みとしては、来客いただいたムスリムの方に声掛けしてインスタグラム投稿をお願いする、Googleマップにレビュー記入をお願いするという地道なことを大事にしていきたいです。

まずは地元大阪のムスリムコミュニティーで認知が広がってほしいと願っています。

ムスリム集客を考えている飲食店にアドバイス

インバウンドはこれからも伸びる市場だと思いますし、今後もムスリム観光客は増加し続けるでしょう。もしあなたがムスリム向け飲食事業に取り組むのであれば、以下の点に本気で向き合ってください。

1.本気でやる

当たり前ですが中途半端にせず、本気でやり抜く気持ちと行動は必要です。

2.勉強からしっかりやる

ハラールやムスリムフレンドリーのメニュー提供に挑戦するのであれば、しっかり勉強されることをおすすめします。専門家に依頼して知識を習得することが良いと思います。なんとなくでやってしまうとトラブルの元になるで注意ください。

3.設備投資を覚悟する

ムスリム専用の食器や設備を投資する覚悟はありますか?一般的な飲食事業と比較しても設備投資だけではなく見えない手間コストもかかる点には注意が必要です。事前にどのような準備が必要かは勉強や専門家のアドバイスで知ることができます。

インタビューを終えて

女将・岡田様ありがとうございました。

岡田様は以前の職場でムスリムと交流があったというバックグラウンドをお持ちです。
自身でハラールに関する知識の習得に取り組まれていたという背景もあり、ムスリム観光客を迎える体制は準備できていました。しかしながら集客の部分で悩まれていたということもあり、弊社のSNSアカウントに連絡をいただいたいというのがきっかけです。

岡田様の想いや取り扱い商品の内情、事業ポートフォリオ設計など細部に渡る部分まで検証に参加させて頂き、ムスリム向けに特化した英語版アカウントを解説する運びになりました。

まだスタートしてまもないアカウントであり、今はご祝儀来客のステージでもあります。大事な点はここで満足せず本業と同じ熱量でSNSを介した集客に向き合うことだと思います。

今後もごっちゃんの活動から目が離せません。

会社情報

社名:お好み焼き酒場 ごっちゃん

住所: 浪速区稲荷2丁目1-15 シャトー桜川 102

営業時間:ディナータイム 17時~22時 (定休日:水曜日)

HP:https://okonomiyakibar-gocchan.com/

IG:https://www.instagram.com/gocchan_osaka/

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